私たちは、貴社のブランドが輝き、測定可能な事業成果をもたらす、高性能のマーケティング機能と自律成長組織の構築を専門としています。
「戦略は立てた。あとは実行するだけ…のはずなのに、なぜか前に進まない。」 「部門間で連携が取れず、ちぐはぐな動きになっている。」
こんなもどかしさを感じていませんか?素晴らしいアイデアや明確なビジョンがあっても、それが経営者や一部の幹部だけの「頭の中の戦略」に留まっている限り、組織全体が同じ方向を向いて進むことはできません。
事業が停滞する大きな原因の一つは、この「戦略の共有不足」にあります。どれほど優れた戦略であっても、それがチームの「共通言語」になっていなければ、個々のメンバーが自律的に考え、行動することは難しいでしょう。
今日のテーマである「アンゾフ・マトリックス」は、単なる意思決定ツールではありません。これは、経営者とチーム、部門と部門をつなぎ、全員が同じ「地図」を見て、同じ「羅針盤」を共有するための、まさに組織変革の強力な武器です。今回は、このフレームワークが、いかにして貴社の組織を「自律する生命体」へと進化させるのか、その本質についてお話しします。
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アンゾフ・マトリックスとは?戦略を「見える化」する魔法のツール
アンゾフ・マトリックスは、ロシア系アメリカ人の経営学者イゴール・アンゾフが提唱した、成長戦略を策定するためのフレームワークです。これは、事業の成長機会を「市場」と「製品」の2つの軸で、以下の4つの象限に分類します。
市場浸透(既存製品 x 既存市場)
製品開発(新製品 x 既存市場)
市場開拓(既存製品 x 新市場)
多角化(新製品 x 新市場)
このシンプルな図が、なぜ組織を変える力を持つのでしょうか?それは、複雑な戦略の議論を、誰にでも理解できるシンプルな言葉とビジュアルに変換するからです。

ズレをなくす!GTM戦略策定の羅針盤としての活用法
アンゾフ・マトリックスは、新しい製品やサービスを市場に投入し、顧客に届けるための計画全体である「GTM(Go-to-Market)戦略」を策定する上で、最も重要な土台となります。
多くの企業がGTM戦略で失敗する原因は、目標が曖昧だったり、部門間で連携が取れなかったりすることです。しかし、アンゾフ・マトリックスを使うことで、貴社の成長の「勝ちパターン」を特定し、そのパターンに沿った具体的なGTM戦略を構築できます。
「誰に、何を、どのように売るか」というGTM戦略の核となる問いを、アンゾフ・マトリックスの4つの象限に当てはめることで、各部門が自律的に行動できるような「共通言語」が生まれるのです。
4つの象限:貴社の戦略を「全員の言葉」に変える
1. 市場浸透:『今いるお客様』と、もっと深く繋がる
これは、貴社の既存の製品やサービスを、現在の市場でより多くのお客様に届けるための戦略です。
<BtoB企業で考えると…> 例えば、営業チームが既存顧客への「アップセル(より高機能なサービスへの移行)」や「クロスセル(関連商品の販売)」に注力するケースです。この戦略が共有されると、マーケティングチームは顧客満足度を高めるためのコンテンツを企画し、カスタマーサポートチームは顧客の潜在的な課題を発見し、営業にフィードバックする、といったように、各部門が自律的に動けるようになります。
<BtoC企業で考えると…> 既存顧客の購入頻度や購買単価を増やすための戦略です。たとえば、札幌市内のカフェが、来店スタンプカードをスマートフォンアプリに移行し、利用頻度に応じて割引クーポンを配布するケース。この戦略が共有されれば、製造部門は新商品の開発に、店舗スタッフは一人ひとりのお客様とのコミュニケーション強化に、それぞれが主体的に取り組むようになります。
2. 製品開発:『今いるお客様』の新しいニーズに応える
この象限は、イノベーションに関するものです。既存のお客様に、新しい価値を提供する製品やサービスを開発することに焦点を当てます。
<BtoB企業で考えると…> すでに取引のあるお客様の課題を深く理解し、その解決に特化した新しいサービスを開発するケースです。例えば、企業向けコンサルティング会社が、人材育成に悩む既存クライアントのために、オンラインでの研修プログラムを立ち上げる。この時、営業部門は顧客の声を収集し、開発部門はそれを基に新しいプログラムを設計する、といった部門横断的な連携が自然に生まれます。
<BtoC企業で考えると…> すでに貴社のブランドを愛用してくださっているお客様の潜在的なニーズに応えるための新商品です。例えば、健康食品を販売する会社が、既存顧客の「もっと手軽に栄養を摂りたい」という声から、プロテインスムージーの開発に着手するケース。この戦略が共有されることで、マーケティング部門は「ターゲットの健康意識」に関するリサーチを、製造部門は「手軽さ」を追求した製品設計を、それぞれの視点で深めることができます。
3. 市場開拓:『新しいお客様』と出会い、世界を広げる
市場開拓は、既存の製品を新しい顧客セグメント、業界、または地域に導入する戦略です。
<BtoB企業で考えると…> これまで飲食店向けに販売していた予約管理システムを、美容室や病院といった別の業界にも展開するケースです。この戦略が共有されることで、営業部門は新しい業界の顧客リストを作成し、マーケティング部門はその業界特有の課題に合わせたウェブサイトのコンテンツを作成するなど、各部門が自律的に新しいチャレンジへと踏み出せるようになります。
<BtoC企業で考えると…> 既存の商品を、新しい客層や地域に届ける戦略です。例えば、北海道の銘菓を製造する企業が、オンラインショップで全国販売を始めるケースです。この場合、EC担当者は全国の顧客にアピールするためのキャンペーンを企画し、広報部門は各地域のメディアへのプレスリリースを検討するなど、チーム全体が新しい市場の獲得に向けて一丸となります。
4. 多角化:『新しい市場』で『新しい挑戦』を始める
多角化は、まったく新しい市場向けに新しい製品を生み出す、最もリスクの高い戦略です。しかし、うまく実行できれば、事業に全く新しい成長の柱をもたらします。
<BtoB企業で考えると…> 既存事業とは全く異なる分野への参入です。例えば、企業のオフィス清掃サービスを提供していた会社が、そのノウハウを活かし、除菌・抗菌技術に特化した新しい製品を開発し、一般消費者向けに販売するケースです。この戦略は、組織全体が新しい知識を獲得し、新しいスキルを身につけるための大きな挑戦となり、チームの成長を加速させます。
<BtoC企業で考えると…> 既存のサービスとは異なる業種で、新しい顧客層を開拓する戦略です。例えば、地域で人気のカフェオーナーが、長年の経験と人脈を活かし、自社ブランドのコーヒー豆を全国のスーパーマーケット向けに卸販売する事業を立ち上げるケースです。この時、カフェの運営チームと新事業の立ち上げチームが連携し、それぞれの知見を共有することで、成功への道筋がより明確になります。
アンゾフ・マトリックスが組織を変える3つの理由
1. 意思決定のスピードが劇的に向上する
アンゾフ・マトリックスで戦略が明確になると、「この施策はどの象限の戦略に貢献するのか?」という問いが、全てのメンバーにとっての判断基準になります。これにより、上司の指示を待つことなく、現場の担当者が自律的に意思決定できるようになり、事業のPDCAサイクルを高速で回すことが可能になります。
2. 部門間の連携が生まれる
戦略が「共通言語」になると、異なる部門のメンバーも、お互いの役割がどのように事業目標に貢献するのかを理解できます。これにより、部門の垣根を越えたコミュニケーションが活発になり、「お互いが協力することで、より大きな成果を出せる」という協力体制が自然に生まれます。
3. 「やらされ仕事」が「自分事」に変わる
経営者や上司からの一方的な指示ではなく、全員で戦略を策定し、それを「自分事」として捉えることで、メンバーの主体性が引き出されます。自分の仕事が、会社のどの成長戦略に繋がっているのかを理解することで、仕事へのモチベーションが向上し、チーム全体が「自走する組織」へと変わっていきます。
まとめ:戦略は『頭の中』から『実行』へ
アンゾフ・マトリックスは、単なる分析ツールではありません。真の価値は、これを活用してチームで議論し、戦略を「共通の地図」へと変えるプロセスにあります。
もし、貴社が成長の方向性について迷っているなら、あるいは「頭の中の戦略」をチームに浸透させることに課題を感じているなら、このフレームワークを組織に導入することから始めてみませんか?
私たちは、このアンゾフ・マトリックスをはじめとする様々なフレームワークを活用し、貴社に最適な成長戦略を策定します。そして、それを実行する強い組織を育てることで、貴社の事業を次のステージへと導くお手伝いをさせていただきます。
一過性の成果ではなく、持続的に成長し続ける強い事業と組織を、あなたの会社にも実装していきましょう。
ビジネス・マーケティング用語のTips
アンゾフ・マトリックス: 成長戦略を「市場」と「製品」の2軸で4つの象限に分類し、成長機会の優先順位付けを行うためのフレームワーク。
GTM(Go-to-Market)戦略: 新しい製品やサービスを市場に投入し、顧客に届けるための計画全体のこと。
市場浸透: 既存の製品やサービスを、現在の市場でより多くのお客様に届ける戦略。最もリスクが低いとされる。
多角化: まったく新しい市場向けに新しい製品を生み出す戦略。最もリスクが高いとされる。
ROI(Return on Investment): 投資利益率。投資した費用に対して、どれだけの利益が得られたかを示す指標。
OKR: Objectives and Key Resultsの略。目標(Objective)と、その達成度を測るための主要な成果(Key Results)を組み合わせた目標管理手法。
参考資料
VELET「札幌の未来を担う中小企業に、CMO代行と組織育成を」北海道札幌市のマーケティング&コーチングカンパニー
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