2025/08/14

社員の自律性を育むコーチング:組織が自走するチームの作り方

「社員の自律性を育むコーチング」は、中小企業の停滞感を打ち破り、組織を自走させるための鍵です。指示待ちの社員をなくし、一人ひとりが自ら考え行動するチームに変革する具体的な方法を、CMO代行と組織コーチングの視点から解説します。

上村啓太

2025/08/14

社員の自律性を育むコーチング:組織が自走するチームの作り方

「社員の自律性を育むコーチング」は、中小企業の停滞感を打ち破り、組織を自走させるための鍵です。指示待ちの社員をなくし、一人ひとりが自ら考え行動するチームに変革する具体的な方法を、CMO代行と組織コーチングの視点から解説します。

上村啓太

私たちは、貴社のブランドが輝き、測定可能な事業成果をもたらす、高性能のマーケティング機能と自律成長組織の構築を専門としています。

経営者が知るべき「自律的な組織」の正体


多くの経営者の方々とお話する中で、「もっと社員に自律的に動いてほしい」という悩みをよく耳にします。しかし、「自律的」という言葉の解釈は人それぞれ。ただ指示を待たずに動くことでしょうか?それだけでは、時に見当違いな行動につながる危険性もはらんでいます。私たちが目指す「自律的な組織」とは、会社のパーパスやビジョンを深く理解し、共通の目標に向かって、一人ひとりが自分の役割と責任を自覚しながら、最適な行動を自ら選択できる状態のことです。

この状態を作り出すためには、単に「任せる」だけでは不十分です。会社が向かうべき方向を明確に示し、社員がその道筋を自分の言葉で語れるようにするプロセスが欠かせません。それが、社員の「したいこと(WILL)」「できること(CAN)」「すべきこと(MUST)」を、会社のビジョンと重ね合わせるというアプローチです。一人ひとりが、自分の仕事が会社の成長にどうつながるのかを肌で感じられる環境こそが、自律性の土壌を耕す第一歩となります。


▼壁打ちMTGを希望する


なぜ、今「コーチング」が組織に必要とされるのか


「昔は上司の背中を見て学んだものだ」という時代もありました。しかし、情報が爆発的に増え、変化のスピードが加速する現代において、そのやり方だけでは通用しなくなっています。特に、中小企業においては、経営者やマネージャーが常に最前線で走りながら、同時に人材育成も担うという多重タスクに陥りがちです。結果として、個々の社員の成長にじっくり向き合う時間が取れず、組織全体の成長が停滞してしまうという悪循環が生まれてしまいます。

コーチングは、この課題を解決するための強力なツールです。教える、指示するという一方通行のコミュニケーションではなく、対話を通じて相手の内にある答えを引き出すことを目的とします。これにより、社員は「やらされている」という受け身の姿勢から脱却し、「自ら考え、行動する」という主体的な姿勢へと変わっていきます。また、コーチングを導入することで、社員は失敗を恐れずに挑戦できる安全な心理的空間(心理的安全性)を感じられるようになり、イノベーションが生まれやすい組織風土が醸成されていきます。


CMOの視点から見た「組織コーチング」の重要性


マーケティング最高責任者(CMO)代行という立場から見ると、組織の成長とマーケティングは切っても切れない関係にあります。どんなに優れたマーケティング戦略を描いても、それを実行する社員一人ひとりの力と、チームとしての連携がなければ成果は出ません。社員が自律性を持ち、自ら考え行動できる組織は、市場の変化に迅速に対応できる「強いマーケティング組織」となり得るのです。

例えば、顧客からのフィードバックを一番身近で聞いているのは現場の社員です。彼らがその情報を単なるクレームとして処理するのではなく、「どうすれば顧客の期待を超えることができるか?」と自律的に考え、改善提案を行うことができれば、それは強力なブランド構築につながります。また、自社の強みや価値を深く理解している社員こそが、最高のブランドアンバサダーとなります。組織コーチングを通じて、社員が会社の「らしさ」を自分ごととして語れるようになることは、マーケティング活動そのものを底上げすることに他なりません。


自律性を育むためのコーチング実践ステップ


では、具体的にどのようにコーチングを実践していけばよいのでしょうか。ここでは、私たちが普段のコンサルティングで活用している実践的なステップを、いくつかご紹介します。


ステップ1:目的の明確化とビジョンの共有


コーチングを始める前に、まず「何のためにコーチングをするのか」という目的をチーム全体で共有することが重要です。単に「売上を上げるため」といった短期的な目標だけでなく、「お客様に最高の感動体験を提供するため」といった、より上位の目的、つまりパーパスやビジョンを明確にします。そして、そのビジョンを達成するために、一人ひとりがどのような役割を担い、どう貢献できるのかを話し合う場を設けます。この対話を通じて、社員は自分たちの仕事が単なる作業ではなく、大きな目標につながる大切な一歩であることを実感できるようになります。


ステップ2:WILL・CAN・MUSTの整理


『WILL(したいこと)× CAN(できること)× MUST(すべきこと)』のフレームワークは、社員の自律性を引き出す上で非常に有効です。まず、社員に「仕事を通じてどんなことを実現したいか(WILL)」を自由に語ってもらいます。次に、「これまでどんな経験やスキルを培ってきたか(CAN)」を振り返ってもらいます。最後に、「会社として期待していることや、責任として取り組むべきこと(MUST)」を伝えます。

この3つの円が重なる部分こそが、その社員にとって最も価値ある仕事であり、自律的に動ける領域となります。このプロセスを月次のフィードバックミーティングなどで定期的に行うことで、社員は自分の成長を客観的に捉え、次の行動へとつなげることができます。また、マネージャーも社員の隠れた才能や情熱を発見する貴重な機会となります。


ステップ3:KPTフレームを活用した高速PDCAサイクル


自律的に動く組織には、高速でPDCAサイクルを回す文化が不可欠です。そこで役立つのが「KPTフレーム」です。これは、「Keep(継続すること)」「Problem(課題・問題)」「Try(挑戦すること)」の頭文字を取ったもので、プロジェクトや期間の振り返りに使います。

たとえば、月次ミーティングで「Keep(今月うまくいったこと、今後も続けたいこと)」「Problem(うまくいかなかったこと、改善が必要なこと)」を全員で洗い出し、そこから「Try(来月新しく挑戦すること、改善策)」を具体的に決めていきます。このやり方だと、単なる反省会で終わらず、前向きな次の一歩を全員で決めることができます。このプロセスを繰り返すことで、社員は自ら課題を発見し、解決策を考え、実行する力が自然と身についていきます。


ステップ4:フィードバックMTGで成長を加速させる


月に一度のフィードバックミーティングは、自律性を育むための最も重要な場です。このMTGでは、単に結果の良し悪しを評価するのではなく、社員の行動と成長に焦点を当てて対話します。設定した目標に対し、「Special(特に素晴らしかったこと)」「Good(良かったこと)」「More(もっと伸ばしたいこと)」という3つの視点でフィードバックを行うと、相手は建設的に受け止めやすくなります。

この際、マネージャーは「なぜその行動をとったの?」と問いかけることで、社員が自分の思考プロセスを言語化する手助けをします。これにより、社員は自分の行動を客観的に分析し、次へと活かす内省の習慣を身につけます。そして、最終的に次の目標を共に設定することで、社員は「次はもっとこうしよう」というモチベーションを自ら高めていくことができるのです。


組織が自走を始めた時に現れる変化


社員一人ひとりの自律性が高まり、組織全体がコーチングの文化に満たされると、驚くほど劇的な変化が起こります。まず、指示待ちの時間が減り、各部門やチームの生産性が向上します。次に、社員同士のコミュニケーションが活発になり、部門間の壁が低くなります。互いに助け合い、新しいアイデアを出し合う文化が自然と生まれてきます。

さらに、社員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下にもつながります。自分の仕事が意味のあるものだと感じ、会社から認められているという実感は、社員の帰属意識を強くします。そして何よりも、この「自走する組織」は、外部環境の変化にも柔軟に対応できる強靭なチームへと成長します。社員が自ら変化の兆候を捉え、自律的に動くことで、会社全体が未来に向かって力強く進んでいけるのです。


まとめ:あなたの組織にも、未来の「CUE」を


ここまで、社員の自律性を育むコーチングについて、具体的なステップを交えてお話ししてきました。停滞感を感じている経営者の皆さん、そのモヤモヤこそが、組織を次のステージへと導くための合図かもしれません。

「社員が自律的に動いてくれれば、きっと会社はもっと成長できるはずだ」

そうお考えなら、ぜひ一度、私たちと一緒に自社の「現在地」と「可能性」を見つめ直してみませんか。CMO代行として事業戦略を牽引しながら、組織コーチングで社員の力を引き出す。この両輪で、あなたの会社が「自走する最強のチーム」へと生まれ変わるお手伝いをさせていただきます。

まずは、あなたの会社の未来について、ざっくばらんにお話しする場から始めてみませんか。


【CMO代行組織コーチング】北海道札幌市のマーケティング&コーチングカンパニー

URL:https://velet.jp/

個別セッションMTG用URL https://timerex.net/s/uemurankeitan_baea/7942e040


経営者のための学び(Tips)

パーパス:企業の存在意義。「何のために事業を行うのか?」という問いへの答えであり、社員や顧客、社会とのつながりを作る最も重要な概念。

ビジョン:企業が目指す理想の未来像。「私たちはどんな未来を創造したいのか?」という問いへの答え。社員が共通の目標に向かって進むための羅針盤となる。

CMO(最高マーケティング責任者):Chief Marketing Officerの略。マーケティング活動全般を統括し、事業成長に責任を持つ役員。

コーチング:相手の自主性や能力を引き出すためのコミュニケーション手法。答えを教えるのではなく、質問や対話を通じて相手自身に気づきを促す。

WILL・CAN・MUST:社員のモチベーションとパフォーマンスを高めるためのフレームワーク。WILL(したいこと)、CAN(できること)、MUST(すべきこと)の3つの視点から、個人の目標と組織の目標を重ね合わせることで、エンゲージメントを向上させる。

KPTフレーム:プロジェクトや業務の振り返りに用いられるフレームワーク。Keep(継続すること)、Problem(課題)、Try(次に挑戦すること)の3つの要素で構成され、次の一歩を前向きに導く。

心理的安全性:チームや組織において、自分の意見や感情、弱みなどを安心して表現できる状態のこと。この状態が保たれると、創造性や生産性が高まることが知られている。

エンゲージメント:社員が会社や仕事に対して抱く、自発的な貢献意欲や愛着心のこと。単なる満足度だけでなく、組織目標への共感や一体感を含む。

自律性:他者からの指示を待つのではなく、自ら考え、判断し、行動できる能力。組織の自走には不可欠な要素。

Let’s keep in touch.

Follow us on Twitter and Instagram.